やや缶詰めじみた仕事部屋ばかりの日々、テレビで熊楠番組やってたので、古書買う。立派な厚さ。そして思うのは、クーボー博士が、黒板に描いた図とは、どんなものだったろうか?、熊楠マンダラと呼ばれる図と、どう違うのだろうか。
メールアドレス : masumurahiroshi1952@gmail.com
2014/01/27
賢治の生原稿
古本屋で、文学全集「高村光太郎・宮沢賢治」集。昭和五十年八版を見つけた。この一九七五年に出された本の「銀河鉄道の夜」。見ると驚く。物語は最終形の「午後の授業」で始まるが、天気輪の柱の丘に行き、星がいくつにも分裂したあと、列車に乗らず、「最終形」状態で目が覚める。そしてカンパネルラの溺死の川で、牛乳を持って走る。ここが最終形の終わりだが、そこからが凄い。
・・・もう一目散に河原を街の方へ走りました。(ここが最終形の終わり)
『けれどもまたその中にジョバンニの目には涙が一杯になって来ました。
街燈や飾り窓や色々のあかりがぼんやりと夢のように見えるだけになって、いったいじぶんがどこを走っているのか、どこへ行くのかすらわからなくなって走り続けました。
そしていつかひとりでにさっきの牧場のうしろを通って、また丘の頂に来て天気輪の柱や天の川をうるんだ目でぼんやり見つめながら座っていました。汽車の音が遠くからきこえて来て、だんだん高くなりまた低くなって行きました。
その音をきいているうちに、汽車と同じ調子のセロのような声でたれかが唄っているような気持ちがしてきました。
それはなつかしい星めぐりの歌をくりかえしくりかえし歌っているにちがいありませんでした。
ジョバンニはうっとりそれを聞きいっておりました。』
六銀河ステーション
そしてジョバンニはいつかすぐうしろの天気輪の柱がいつかぼんやりした三角標の形になって・・・
こうして物語は初期形の黒い帽子とブルカニロ博士の登場する物語になっていく。『』で囲った文章を読んだことのある人は少ないと思う。私が二十歳で読んだ文庫本には無い。こうした文章の存在を教えてくれたのは、八三年の打ち合わせでの天沢さんだが、九十年代に出た、現存する生原稿を複写してまとめた本でも、この生原稿は載っていない。どうやら、「銀河鉄道の夜」が本になる作業のなかで、ある時期に「消えた」のだ。普通に考えれば、編集者が編集していく作業のなかで、「紛失」したのか?あるいはたぶん賢治による削除線などがあると想像されるので、「私物化したのか。とにかく、賢治の死後も、存在していたこの原稿は、現在行方不明なのだ。
それにしても、なんと味わい深い文章だろう。そして賢治はいったいどの位置にこの稿入れたのだろう?。これを考えるだけで、あの物語は新しいかがやきを見せてくれる。私が思うには、ブルカニロ博士に金貨をもらい丘を下ったあと。初期形ではここで終わるが、賢治はそのあとに、この文章を一度加えていたのだろうか。
以上、朝の七時、バルサ対マラガ、二点目で安心して書きこみました。
・・・もう一目散に河原を街の方へ走りました。(ここが最終形の終わり)
『けれどもまたその中にジョバンニの目には涙が一杯になって来ました。
街燈や飾り窓や色々のあかりがぼんやりと夢のように見えるだけになって、いったいじぶんがどこを走っているのか、どこへ行くのかすらわからなくなって走り続けました。
そしていつかひとりでにさっきの牧場のうしろを通って、また丘の頂に来て天気輪の柱や天の川をうるんだ目でぼんやり見つめながら座っていました。汽車の音が遠くからきこえて来て、だんだん高くなりまた低くなって行きました。
その音をきいているうちに、汽車と同じ調子のセロのような声でたれかが唄っているような気持ちがしてきました。
それはなつかしい星めぐりの歌をくりかえしくりかえし歌っているにちがいありませんでした。
ジョバンニはうっとりそれを聞きいっておりました。』
六銀河ステーション
そしてジョバンニはいつかすぐうしろの天気輪の柱がいつかぼんやりした三角標の形になって・・・
こうして物語は初期形の黒い帽子とブルカニロ博士の登場する物語になっていく。『』で囲った文章を読んだことのある人は少ないと思う。私が二十歳で読んだ文庫本には無い。こうした文章の存在を教えてくれたのは、八三年の打ち合わせでの天沢さんだが、九十年代に出た、現存する生原稿を複写してまとめた本でも、この生原稿は載っていない。どうやら、「銀河鉄道の夜」が本になる作業のなかで、ある時期に「消えた」のだ。普通に考えれば、編集者が編集していく作業のなかで、「紛失」したのか?あるいはたぶん賢治による削除線などがあると想像されるので、「私物化したのか。とにかく、賢治の死後も、存在していたこの原稿は、現在行方不明なのだ。
それにしても、なんと味わい深い文章だろう。そして賢治はいったいどの位置にこの稿入れたのだろう?。これを考えるだけで、あの物語は新しいかがやきを見せてくれる。私が思うには、ブルカニロ博士に金貨をもらい丘を下ったあと。初期形ではここで終わるが、賢治はそのあとに、この文章を一度加えていたのだろうか。
以上、朝の七時、バルサ対マラガ、二点目で安心して書きこみました。
2014/01/26
進行跡
66番白象相撲あと18番。全体の8/11まできた。いよいよクライマックスに向かって象達は接近してきた。この作品の不思議さはたくさんあるが、賢治の意識がどこに居るのか、オツベルでも象でもない。もちろん牛飼いでもないが、なんとも奇妙な気配なのだ。やはり奇人が生んだ奇文なのだ。実に、おもしぇ。
2014/01/24
ダシ
我が家の味噌汁。家人は最近、鰹節と煮干しを煮てダシ汁を作ってる。呑む瞬間、すっとダシの気配が舌に広がり、実にうまい。ダシとった煮干しを猫にやったら、最初は食べたが食べなくなった。昨夜、いきつけの飲み屋から帰った家人。飲み屋で土産に、ダシ取ったあとの鰹節や煮干しをもらってきた。「醤油つけると、酒のつまみになるよ」。そのまま食べてみると うまい。煮干しもうまい。さっそくテーブルに乗ってきたモミちゃんにやったら、ガツガツ食べた。ああ、鰹節も煮干しも、当然ながら「上には上」があるのだ。上ものはモミに判るのです。
最近は朝の八時すぎに寝て、夕方四時に起きる生活が続いてる。九時に寝て午後一時に起きたら、眠い。夕飯食べて机に向かったら、あんまり眠くて椅子に座ったまま一時間寝てた。そのあとジムに行きプールで泳ぎサウナ入って、夜中に飲酒。早く寝て生活時間を少し戻そう。そして四時ころ寝た。どーれ起きるかつってるとモミが布団に入ってきて、また寝たら、午後四時であります。ほほほ、十二時間も寝て、気合い十分なれど、やっぱりズレは直らない。
白象場所・六十六番勝負。四十八番勝負の前に珈琲たいむ。
最近は朝の八時すぎに寝て、夕方四時に起きる生活が続いてる。九時に寝て午後一時に起きたら、眠い。夕飯食べて机に向かったら、あんまり眠くて椅子に座ったまま一時間寝てた。そのあとジムに行きプールで泳ぎサウナ入って、夜中に飲酒。早く寝て生活時間を少し戻そう。そして四時ころ寝た。どーれ起きるかつってるとモミが布団に入ってきて、また寝たら、午後四時であります。ほほほ、十二時間も寝て、気合い十分なれど、やっぱりズレは直らない。
白象場所・六十六番勝負。四十八番勝負の前に珈琲たいむ。
2014/01/21
描き直し
白象の手紙を読んだ象たちは 激怒してオツベル邸を急襲すべく 山から林に降りてくる。賢治はそこを「花火みたいに野原の中に飛び出した」と描写している。これは、どのような光景なのだろか?。一応描いてみたのだが、ずいぶんたってから、象の動画を見ているうちに、あっコレダと気づいた。賢治の脳内にも、たぶんこの画像があったのだ。
というわけで、せっかく描いた下書きではあるが、没にして描き直しとなった。
ジムのサウナのテレビで、知世ちゃんが悪事働いてるの見た。ふむ、悪事も似合いますなー。しかし若者たちはテレビを無視してバイトでサボる話で盛り上がっていた。歳月が流れるなかに居るなあ。
白象場所、名場面の一つ、碁打ちのシーン、一日がかりで一枚描く。それにしても なにゆえ碁なんだろう?。
サワガニは冬眠すると思っていたが、我が家の連中は水温のせいか 数名が夜中になると石の上などに居る。水温が二十度。故郷の里山の水は雪に覆われているだろう。南国にいるようなもんだな。
威張りんぼのモミちゃん、仕事部屋に戸開けろと鳴いて入ってきて、しばらくすると、寝室の戸も開けろとまた鳴く。拙者、猫侍は机に向かって忙しいのだよ。もーっと言いながらペンを置くのであります。
というわけで、せっかく描いた下書きではあるが、没にして描き直しとなった。
ジムのサウナのテレビで、知世ちゃんが悪事働いてるの見た。ふむ、悪事も似合いますなー。しかし若者たちはテレビを無視してバイトでサボる話で盛り上がっていた。歳月が流れるなかに居るなあ。
白象場所、名場面の一つ、碁打ちのシーン、一日がかりで一枚描く。それにしても なにゆえ碁なんだろう?。
サワガニは冬眠すると思っていたが、我が家の連中は水温のせいか 数名が夜中になると石の上などに居る。水温が二十度。故郷の里山の水は雪に覆われているだろう。南国にいるようなもんだな。
威張りんぼのモミちゃん、仕事部屋に戸開けろと鳴いて入ってきて、しばらくすると、寝室の戸も開けろとまた鳴く。拙者、猫侍は机に向かって忙しいのだよ。もーっと言いながらペンを置くのであります。
2014/01/17
2014/01/15
白象場所三六・三七&ミヤコタナゴ
まもなく、今回の賢治シリーズ描きだしてから一年になる。描いても描いても 文字の中から湧いてくる新鮮な驚き。牛飼いの言い回しで言えば「賢治ときたら 大したもんだ」。白象との相撲も中日にさしかかり、見開きシーンに三日目なり。脳はインド方面の密林を徘徊中。
絶滅危惧種で、飼育してはいけないミヤコタナゴ。繁殖が難しいという至難の種を二十八匹から千百二十一匹まで増やしたという人が、文化庁に電話して「増えて困っている」と言ったら、通報されて書類送検された。確かに、犯罪なのだろうが、しかし、繁殖が難しいものを増やしてみせたその技術。大岡裁きのような叡智のある沙汰は出来ないのか?。この国のどんづまりを示す、規則一点張りの硬直ぶりではないのか?。まるで、有能なる規則違反者と、無能な管理者のイソップ童話みたいだ。
十八日夜九時・NHK・BS「超常現象」・・・・・・録画。
絶滅危惧種で、飼育してはいけないミヤコタナゴ。繁殖が難しいという至難の種を二十八匹から千百二十一匹まで増やしたという人が、文化庁に電話して「増えて困っている」と言ったら、通報されて書類送検された。確かに、犯罪なのだろうが、しかし、繁殖が難しいものを増やしてみせたその技術。大岡裁きのような叡智のある沙汰は出来ないのか?。この国のどんづまりを示す、規則一点張りの硬直ぶりではないのか?。まるで、有能なる規則違反者と、無能な管理者のイソップ童話みたいだ。
十八日夜九時・NHK・BS「超常現象」・・・・・・録画。
2014/01/12
2014/01/09
つげさん・み・こらそん
つげさん、といえば我が家では「つげ義春」を指す。芸術新潮での特集本やっとこ買ったが、「紅い花」全ページがカラーで採録されていた。白黒原稿を意図的にカラーで載せたから、原稿の黄ばみやセロテープの焼けた色など、実に生生しく出ている。
そこで家人が言ったのだ。「ほとんど ホワイトの修正が無いね」。
さすが、私の原稿のホワイト修正を長年やっているだけに、目のつけどころが違う。言われて見て、はっとした。そうなのだ。あまりに見事な線ではないか。枠線の外にほとんどはみ出さないし、原稿自体が そういう意味でほとんど汚れていない。「紅い花」は、あまりに美しい。そこには、締め切りギリギリで描く荒さではなく、素晴らしい静けさが流れている。
「影切り森の銀ハープ」のなかの駒割り、そこに、み・こらそんの天才へのオマージュとして、「紅い花」は描かれている。
そこで家人が言ったのだ。「ほとんど ホワイトの修正が無いね」。
さすが、私の原稿のホワイト修正を長年やっているだけに、目のつけどころが違う。言われて見て、はっとした。そうなのだ。あまりに見事な線ではないか。枠線の外にほとんどはみ出さないし、原稿自体が そういう意味でほとんど汚れていない。「紅い花」は、あまりに美しい。そこには、締め切りギリギリで描く荒さではなく、素晴らしい静けさが流れている。
「影切り森の銀ハープ」のなかの駒割り、そこに、み・こらそんの天才へのオマージュとして、「紅い花」は描かれている。
白象場所再開&ヒロノさーん
白象相撲30番とって、中日まであと三番。普段なら温室に丸椅子置いて寝てる季節だが、いまやジャングルの如し。
WOWOW「仁義なき戦い」全シリーズ、毎日見ているせいで、とうとう夢の中でワタシャ、広島弁で軽いヤクザ化していた。目が覚めても、サワガニの水槽みてると、喧嘩ばかりして片側の脚一本ししか無い奴が、突撃派のヒロノ正三親分に見えるし、逃げていくカニは山森親分に見える。テレビの政治家たちも、自民党幹部の臨時招集などというと、山森組に見えてくる。組織対組織、組同士の戦争には金がかかる。誰が裏切り誰が逃げるか、なんとも立派な「権力構造の教科書」だ。
2014/01/04
仁義なき戦い
戦後の広島・呉を舞台にしたヤクザの抗争史。それを映画化したこのシリーズ。随分何度も見てきたが、元旦からWOWOWで再放送。やはり面白い。というより、これは社会学のテキストだ。組織対組織。大きい魚は小魚を食う。弱肉強食。そういう社会で、「強い」とは何か?。組織が生き延びるとは、どういう構造をとるのか?。
そして、この物語の主人公は、菅原文太さんのヒロノなのだが、真の主役は彼ではない。金子信雄さん演ずる山森親分なのだ。八十年代、うちの友達のなかでもこのシリーズはハヤッタが、やっぱり痺れたのは「山森親分」。なんつったって、最低である。恥知らずである。卑怯の大王である。そして、カッコイイ菅原文太は、その任侠道の美が、結局向かうのが監獄であり、消耗して使い捨てられることを見せつける、という実に世の中の凄味が描かれている。第三作の山森親分は絶品で、落語の師匠のようだ。必見ぜよ。
そして、この物語の主人公は、菅原文太さんのヒロノなのだが、真の主役は彼ではない。金子信雄さん演ずる山森親分なのだ。八十年代、うちの友達のなかでもこのシリーズはハヤッタが、やっぱり痺れたのは「山森親分」。なんつったって、最低である。恥知らずである。卑怯の大王である。そして、カッコイイ菅原文太は、その任侠道の美が、結局向かうのが監獄であり、消耗して使い捨てられることを見せつける、という実に世の中の凄味が描かれている。第三作の山森親分は絶品で、落語の師匠のようだ。必見ぜよ。
2014/01/02
八甲田山雪中行軍
猫侍を堪能したあと、寝ないで映画「八甲田山」を見た。今年描く「ひかりの素足」のためだ。明治時代に青森の陸軍が、ロシアとの戦争を想定し、冬の八甲田山踏破しようとし、吹雪で道を見失い210名中、11名だけが生存したという事件。封切り直後映画館で見たのは夏の終わり頃だったろうか、館内がシーンとしたあの寒々しい静けさは、わすれられない。今回見ても、やっぱり恐ろしい。三国連太郎の大隊長の横暴、高倉健の案内人たちへの施し、印象的な場面だったが、今やネットの時代。濃い研究サイト見ると、それらは事実とは違う、新田次郎氏の小説における創作と判る。このサイトによると、助かった11名のなかに、米沢出身者がいたことにも、驚いた。
登録:
投稿 (Atom)